深彫り幾何学サンドブラスト(建築エッチングアートガラス)

試作で升目を深く彫り下げるエッチングガラス、升目は2cmくらいの巾で1,2,3ミリの深さが混ざり合っています。試作のガラスの大きさは200ミリx150ミリと大きくはありませんが、一見シンプルなデザインでも深さが違うものが隣同士ですと非常にレベルの高い加工内容となります。

最初に3ミリ深さを彫り、2ミリ、1ミリと彫り進めていきますが、2ミリ1ミリ部分を彫るときに先に彫った3ミリ部分にもサンド=砂が当たるので3ミリ部分が深くなってしまいます。

この問題をクリアしなければ、きれいに表現ができません。まあ、最終的には手業と感、感ピューター、すぐフリーズしちゃうけど。

シンプルなイメージですが、このような仕様は実はハイレベル分野なのですが、たとえば前回ご紹介の立体彫刻のカワセミなどのほうが、印象的には大変と思われちゃう。工芸仕様のカワセミよりもこちらの試作仕様のほうが、制作者泣かせなんです。

今度説明しますが、この技法はガラスサインの浮かし技法で活躍します。

 

様々な工房さんでは、深彫りは深さ1.5ミリくらいと謳っているところもありますが、ガラスに穴を空けられるので基本、何十ミリでも深くは彫れます。大切なのは深くてきれいに彫れること。深くなればなるほど、きれいに彫り下げることが難しくなります。平らの状態を保つのが難しい。

何度も何度も手に覚えさせるしかありません。プールサイドで泳ぎ方の本を読んでいても、プールに入ったら泳げるわけではありません。

後は耳、音。実はサンドブラストで彫っていくときは、砂と空気の混ざる理想的な状態がわかるのは、目ではなくて音。ですので聞くことは重要。自分はそれほど耳が良いわけではないけれど、ノーマルであれば音を聞くことは特別、問題ありません。

学生時代に音楽を目指している連中はレコードからコピーしていて、自分はそれほど耳が良いわけではなく聴こえない音があることがわかりました。だから声が大きいのだと思います。内緒話ができない。

多くの連中が音楽プロの道に進みましたが、音楽を断念しても仲が良いのでコンサートのポスターなどを描き、その延長でものつくりの道へ進めたわけです。

ある職人さんが後継者に「死んでいくときに、おまえらにこの腕をちぎってあげれたらな・・・」って言葉、わかりますよ。