滝イメージのエッチングガラス(建築アートガラス)

ガラスで滝のイメージの問い合わせに回答した、以前制作した滝のイメージのエッチングガラスです。

水や空気は絵画と違って、ガラスに彫るのはイメージで表現する技法となります。しかし絵で描く様な線では、水や空気はマンガチックになってしまうために、様々なテクニックを考えてオリジナルにします。

こちらはランダムなかすれているラインでの表現。筆で書いたようなかすれと、不ぞろいなラインの太さがうまく出た技法。

一枚のガラスがワイド1200ミリで高さが2200ミリくらいだったので、上から下まで2,2m水が不自然に落ちないように、3名がかりで真っ直ぐになるように、道具も考えました。

建築アートガラスの技法では、準備時間は早く、材料費は抑えて、クオリティーは高く、「早い、安い、うまい」牛丼のような世界感は大切。時間がかかり、材料にお金が乱暴にかかっても、完成したものがクオリティが高いとは限りません。

ましてや、建築アートガラスの多くは作品ではなく、演出商品と思っています。でもクオリティーは作品並みに高くする努力、のスタンス。

こちらは注文されたときに、写真でこのような表現をしてほしい、と指示があったので、巾1.5ミリから2.5ミリのハンドカットラインですこしゆらぎを出してから彫刻。1.5ミリから2.5ミリのゆらぐ平行ラインをカットするのはまだ容易、これが20ミリや30ミリとゆらぐ幅広いラインだと平行が格段に難しくなります。

上の写真の技法と下の写真の技法での完成イメージがそれぞれなので、設置される空間に合うように近づけていきます。

抽象デザインイメージは、具象デザインとは違った難しさがあります。「考えるな、感じろ」ブルース・リーの世界です。

この波はラインのピッチを変えて、光り方の違いで波が浮き出てくるようになります。

先日も取り付け現場で管理責任者の方が、最近は昔と違ってエッチングガラスの表現もひと工夫、必要になってきたようだ、と言っていましたがその通り。

花やぶどうなど以前のようにそれだけを彫るよりも、飾り枠模様をオリジナルにしたり、スワロフスキーで演出したりと、まだまだアートガラスは勉強しなければならないことがたくさん。

他の工房が出来ない、という好物がいっぱい欲しいものです。

今、宿題でもらっている「雲」これも非常に難しいダス・・・