重要文化財のエッチングガラス(建築・店舗エッチングガラス)

重要文化財の建築で、内装の50~60年前ほどのエッチングガラスも重要文化財ですが、一枚破損しているので復元です。2~3社に制作不可と言われて不要に時間が経ち、当工房へ相談されましたので、「最終納期までの時間が残っていません」とのことでした。 大丈夫。

50~60年ほど前だと、エッチング彫刻ガラスも制作している会社は3社ほどだったと聞いてます。東京で2社、大阪で1社。この時代はステンドグラス含めて、アートガラスがとても贅沢なものとも聞いてます。

しかし時の移り変わりは厳しく、この3社はもうありません。「つわものどもが夢のあと」 35年前は技術、表現など追いつくのが目標でした。

50年ほど前のデザインはもう昭和真っ只中、レトロ感たっぷり。森しげの社長が出てきそう。植木ひとしのサラリーマン、平等(たいらひとし)が出てきそう。あのいい加減な空気感、好きです。今の時代はオイラには、ちっと窮屈。

昔に制作されたアートガラス、ステンドグラスなどの復元や修理を依頼される場合、そのガラスの技法を見ていると、職人の素晴らしい技術や苦労した部分などを感じます。もういないであろう職人さんとの対話のようです。

技法を探って復元することは可能ですが、50年間の経年経過は同じには出来ません。50年経ったら同じくなると言うことです。

法隆寺の代々宮大工の方が、薬師寺の三重の塔を復元されたときに「既存の同じ塔より数十センチほど高い」と言われて「木というものは締まってくるので、100年後には同じ高さになる。今、同じ高さだと100年後には低くなってしまう。」という話がありますが、感動でした。

オイラはこうようなアナログ的な話が好き。「木の心、木の命」や「最後の川漁師」などの人の体温を感じる本が好き。逆にデジタル的なものは興味が出ないので、苦手ダス。時代的にはほぼ弥生人です。