サンドブラストの技法 (店舗エッチングガラス)

サンドブラストで基本の彫り方は。平彫りというシルエットを彫る技法。その技法に砂の当て方や薬品の使い方でいろいろな表現が出来ます。

イメージがアンティークなお店の入り口ドアに付いたアートガラス。基本の平彫りでは表現が弱く、貧弱になってしまうので3種類に分けて制作しました。楕円の大きさは縦70センチx横50センチほどの正楕円。

白い部分がケシたまま、濃い部分は薬品をかけてエッチングガラスという状態、中間に見える部分は70%ほどケシにしています。このようにすれば、平彫りもむる印象が素敵になります。

ガラスの透明は黒い印象、と把握して100%ケスと白、50%だとグレーに見えます。この技法は「ハーフトーン」とか「パラケシ」とか言っていますが、正式な言葉はありません。

周りの細かい飾り模様も平彫りで薬品加工のエッチングガラス。楕円はハンドカットするときは非常に難しい形です。飾り模様は表面、男女は裏面で彫っています。

基本の平彫りを段々と重ねていくと、段彫りという技法。

この技法もただ段々に彫るよりも、各部立体的に彫り、さらに薬品で陰影加工をすることで、より立体的になります。平彫りから段彫りへ、さらに技法追求して立体彫り。工芸的なサンドブラストはその上の超立体彫りです。

ホームページの表紙の顔アップの全体写真。

立体的に見せようと、ただ深く彫っても思った以上に立体感は出ません。この場合、深い部分でも3ミリくらい、ガラス厚は10ミリなので安全面でも十分です。

ものが立体に見えるのは、影があるからですので、陰影加工で立体感を出すようにします。水墨画の墨の濃淡の表現のような感じ。

アートガラスの厚さを怖がる方がいらっしゃいますが、窓ガラスは昔は厚さ3ミリ、今の主流派5ミリ厚なので、枠に入ってしまえば正面からの衝撃には強いものです。

さらに安全にするためには、飛散防止フィルムを貼ったり、合わせガラスにしたり、強化ガラスにしたりなど様々なご提案をします。

強化ガラスには彫れません、と言う工房さんもいらっしゃいですが、強化ガラスの特性を知れば、彫れます。安全を考えて10分の1までならOK。

30数年、強化ガラスに彫って割れた(爆発)したことは1件もありません。