パーテイションエッチングガラス(建築・店舗エッチングアートガラス)

ご依頼していただく仕事は、エッチングガラスやステンドグラスなどアートガラスの技法はそれぞれですが、デザインは空間に合わせたテーマが指示されますので、基本同じレイアウトはありません。

ですので古今東西のデザインは興味があります。引き出しをいっぱい持っておきたい。でも、どこにしまったか、忘れてしまうんですが・・・

空間も様々、この仕事は銀座の有名な高級クラブの、席と席の間仕切り、パーテイションです。大きさはワイド1.6mx高さ1.2mほど。

ベースをケシにしてしまうと、圧迫感と閉鎖感があり、透明部分が多いとあちら側が見えすぎてしまう、という状態なので、エッチング彫刻が第一印象になるようにして、視線をガラスへ持っていけば、あちら側の印象は和らぐ、という難しいコンセプトでした。

エッチングガラスやステンドグラスでは透明感やあちら側の見え感は設置して初めて評価してもらえるので、難しい課題です。

このような細かいデザインは、細かく彫っていけば良い、というわけではありません。アートガラスを見る時間の長さ、設置される位置の距離などで技法を変えなければ、第一印象が違ってきます。

たとえば、ぶどうを段々に彫る技法も、遠くで見るのであれば丸を離して彫ったほうが、視覚的にはわかりやすいわけです。これは取り付け現場に行きながら、身体で覚えるしかありません。氷彫刻の先輩が言っていた「毛穴から覚える」

この様なデザインの場合、難しいのは細い曲線。ここがガタガタだときれいに納まりません。

アートガラス界も材料商社や工房さんの廃業など厳しい話が最近、入ってきました。もっともどんな仕事も厳しい世の中ですが、質問されることのひとつに「どうすれば、アートガラスで食べていけますか?」があります。

答えは「わかりません」  それぞれの人の環境や考え方など同じものはないので、自分ごときではわかりません。「食べれるまで続ける」という決まり文句以外は・・・でもこれでは満足な回答になっていませんもんね。

浮き沈みの厳しい世の中ですが、勇気もらえる言葉のひとつです。

 「漂えど 沈まず」