エッチングガラスの陰影技法(建築・店舗・住宅アートガラス)

打ち合わせに来社いただいたガラスメーカーの方からも質問されましたが、よく質問される陰影についての簡単なご説明。

エッチングガラスといわれる技法は、砂=サンドを圧縮空気で吹き付けるサンドブラストという技法が基本です。マスキングで覆い、彫刻したい部分を剥きながら彫っていきます。彫りたい部分が多い場合はひと仕事で1000箇所をひとつひとつ剥いて彫る、の繰り返し。

彫りあがった状態は白っぽいまま。立体感も乏しいです。このままでは鑑賞的につまらないのでフッ酸処理などで艶を出しますが、フッ酸処理をしたままですと、すべて艶っぽい。そこでモチーフや全体のデザインなどでいろいろな最終加工技法をします。

そのひとつが陰影技法。主に影をつけて立体感を出す技法。使用する薬品は無害なもので、なおかつ透明感が強いもの。透明感が強いと濃く見えるので、影になります。

一番明るい部分を出すのではなく、影を出すことで明るい部分を感じる技法。

小鳥の制作途中、部分的に影を入れている状態。

砂浜の貝、日差しが強いイメージを感じるために、貝の影を濃くします。この場合、貝がらの質感や砂浜の質感はそれぞれ違った技法ですが、このお話は機会がありましたらご説明。

具象的なモチーフだけでなく、抽象的なデザインにも陰影技法は生きます。

彫刻でも立体感が出るように彫りますがそれだけでは弱いので、仕上げに陰影をつけると、さらに立体感が増します。

その他いろいろな陰影技法はありますが、ステンドグラス含めて昔ながらの技法以外、邪道と言う頭の固い方も絶滅危惧種ほどですが、少数います。

もちろん昔ながらの技法を根本に、様々な技法を考えていけば良い、と思っているんで、へのかっぱ。大切なことは安全で無害で耐久性があり、美しいこと。そしてコストパフォーマンスが高いこと。

そういう方は、薪でご飯炊いて、お風呂沸かして、暑い時はうちわで寒いときは火鉢の生活をしているんだろうか?でなければアートガラスも新しい技法や道具をどうして使わないんだろう?